相続時精算課税と相続税の節税について①

コラム

2025年6月14日 土曜日

当事務所では相続税の申告書の作成依頼のほかに、相続税の節税についてのご相談も数多くあります。

節税についての最近の私なりの考え方を整理してみたいと思います。

ただしボリュームがあるため2回に分けて記載したいと思うますのでご了承ください。

 

《相続税の節税とは》

相続税は当たり前ですが、お亡くなりになった方の財産を相続するときにかかる税金です。

計算式としては、簡単にいうと以下のとおりとなります。

(相続財産の総額-債務・葬式費用-基礎控除)×税率=納税額

 

《どうすれば納税額が少なくなるのか》

ではどのようにすれば納税額が少なくなるのか。

考えられるのは、

1 相続財産の総額を少なくする

2 債務を増やす

3 基礎控除を増やす

ということです。

 

ただし現実的には2と3について実現は難しいと考えます。

 

2の「債務を増やす」ということは、一般的には債務にみあった財産も同時に増えてしまうからです。

お客様の中には「借金をすれば相続税は安くなるのでしょ」「亡くなる直前に何か高額な物を購入すればいいのでしょ」という方もいらっしゃいます。

借金をすれば預金が増えますし、預金が減少すれば減少に伴い何か資産が増えるということです。

結局財産の差し引き総額は変わっていませんので当然納税額も変わりません。

 

次に3について、基礎控除が増えるということは法定相続人を増やすということになります。

昔のメジャーな節税対策の一つに養子を数多くとって法定相続人を増やすという方法がありました。

現在では基礎控除の計算に含まれる養子の数は最高で2人となっており、また、相続人1人につき600万円しか基礎控除は増えません。

 

やはり王道の節税対策としては1の「相続財産の総額を少なくする」ということになります。

 

《資産の置き換え》

生前贈与の話の前に資産の置き換えについて記載したいと思います。

 

資産の置き換えとは、現在ある資産を別の形に変えるという意味合いです。

例えば、預金で持っていたらその預金について丸々税金がかかってしまうため、死亡保険金の非課税枠が余っているのであれば思い切って保険に変えるということです。

ちなみに死亡保険金の非課税枠は500万×法定相続人の数になりますので、例えば法定相続人が3人だった場合は1,500万円までは相続税はかからないというわけです。

預金で1,500万円所有していれば、最低150万円は相続税がかかります。

 

また、必要であれば不動産の購入も検討してもいいかもしれません。

不動産の評価額は一般的に時価より安くなる傾向があるからです。

 

《相続税の節税と贈与の関係》

1の「相続財産の総額を少なくする」ということで最初に思いつくことが親族に贈与するということになるでしょうか。

相続税と贈与税の関係は最近特に複雑になってきています。

基本的な制度として、贈与をすれば当然相続財産の総額は少なくなります。

ただし、相続又は遺贈により財産を取得した人が被相続人から相続開始前3年以内に(令和6年1月1日以後の贈与財産については7年)贈与を受けた場合は相続財産に加算する必要があります。

つまり事実上相続開始前7年以内の贈与は意味がないことになります。

 

・・・そんなことはありません。

 

贈与する相手方や、改正された「相続時精算課税制度」を利用すれば、これからも相続税の節税は十分可能です。

 

米の価格を筆頭に、ここ最近の物価高には本当に苦しめられていますよね。

 

一生懸命築き上げてきた財産を少しでも多く次の世代に残すためには少しの努力が必要です。

 

次回のコラムでは私なりの節税に対する考え方を記載したいと思います。

 

キモとなるのは時間です。

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