相続税における配偶者の税額軽減について

コラム

2025年5月24日 土曜日

配偶者の税額軽減額とは

 

相続税の相談を受けた際に、お客様から「配偶者が相続した場合、1億6千万円までは相続税はかからないのでしょ」とよく聞かれます。

 

半分正解です。

配偶者の税額軽減の制度は、「被相続人がこれだけの財産を築けたのは配偶者の内助の功があってこそ。そこに税金をかけるのはおかしい。」という趣旨の基に創設されたものです。

 

相続や遺贈によって財産を取得した人が被相続人の配偶者である場合には、その配偶者の相続税額から、次の算式によって計算した金額を控除することになっています。

 

(配偶者の軽減税額)

相続税の総額×次の①又は②のうちいずれか少ないほうの金額÷課税価格の合計額

 

  • 課税価格の合計額に配偶者の法定相続分を掛けて計算した金額又は1億6千万円のいずれか多いほうの金額
  • 配偶者の課税価格

 

例1

課税価格が2億円の場合、配偶者の課税価格が1億6千万円までは配偶者の納税額は発生しません。

 

例2

課税価格が4億円で配偶者の法定相続分が1/2の場合、配偶者の課税価格が2億円までは配偶者の納税額は発生しません。

 

つまり配偶者の税額軽減額は、配偶者の課税価格が1億6千万円までを最低保証額として、上限は配偶者の法定相続分までとなります。

 

法定相続人が配偶者のみの場合は、配偶者の法定相続分は1となるため納付税額は発生しません。

 

納付税額が発生しない場合、申告の必要はないのか

 

答えは×です。

相続税における配偶者の軽減税額は申告することが要件となっています。

具体的な要件としては相続税の申告書に次の書類を添付することになっています。

 

・遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し

・相続人全員の印鑑証明書

・申告期限後3年以内の分割見込書(新鼓気宇期限内に分割ができない場合)

 

配偶者が相続することで大幅な節税になる

 

答えは半分正解です

 

きるだけ多く配偶者が相続するよう遺産分割を行った方が大幅な節税になるということは事実です。

しかし、多くの場合は二次相続の方が法定相続人の数が少なくなり、また、税率も高くなる傾向があります。

 

配偶者に相続させる際に考慮すべきこと

 

・配偶者固有の財産がどのくらいあるのか

・一次相続の際の小規模宅地の適用の可否

・二次相続の際の小規模宅地の適用の可否

・一次相続から二次相続発生までの期間にどれだけ節税対策が行えるか

・具体的に一次相続の税率と二次相続の税率はどう違うか

 

まとめ

配偶者の税額軽減は納税者にとって大きなメリットです。

しかし使い方によっては無駄に税負担を増やすこともあります。

配偶者の税額軽減の制度は、相続が発生してから行える数少ない税額軽減制度ですので、相続税の申告の際にはぜひ当事務所までご相談ください。

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