贈与税の特例税率ご存じですか?
コラム
2025年1月18日 土曜日
みなさん、贈与税の税率は全員同じと思っていませんか?
贈与税にはいくつも特例があります。
代表的なものでいうと、「相続時精算課税の特例」「住宅取得等資金の非課税の特例」「配偶者控除の特例」ですね。
これらの特例制度を簡単におさらいしてみます。
【相続時精算課税の特例】
贈与の年の1月1日現在において18歳以上の子や孫に対して、60歳以上の父母又は祖父母が贈与した場合、基礎控除110万を控除した残額に対して2,500万円の特別控除がある制度です。
ただし基礎控除の110万円を超えた金額については、贈与者に相続が発生した場合、相続発生時に贈与者が保有していた財産に贈与時の基礎控除を超えた財産の累計価格を加算して相続税を計算することになります。
【住宅取得等資金の非課税の特例】
令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、贈与の年の1月1日現在において18歳以上の者が父母や祖父母からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築の支払いに充てるための金銭の贈与が行われた場合、非課税限度額(1,000万円又は500万円)まで贈与税が非課税となる制度です。
【配偶者控除の特例】
婚姻期間が20年以上である配偶者から、①居住用不動産の贈与受けた場合又は②金銭の贈与を受けその金銭で居住用不動産を取得した場合、贈与された価格の合計額から2,000万円を控除することができる制度です。
では本題の「特例税率」の制度とはいったいどういうものなのでしょうか。
【特例税率】
贈与の年の1月1日において18歳以上の方が父母又は祖父母から贈与を受けた場合に適用できる制度です。
この「特例税率」の適用がある財産を「特例贈与財産」といいます。
「こんな贈与なんて一般に行われているじゃないか。どこが特例や!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
「特例税率」はある一定の価格を超える財産を贈与した場合に自動的に適用される税率だからです。
それでは「特例税率」はいつ適用されるのか。
- 「特例贈与財産」のみの贈与を受けた場合で、その財産の価額から基礎控除(110万円)を差し引いた後の課税価格が300万円を超える場合
- 「一般贈与財産」と「特例贈与財産」の両方の贈与を受けた場合で、その両方の財産の価額の合計額から基礎控除(110万円)差し引いた後の課税価格が300万円を超える場合
です。
簡単に言えば、父母や祖父母からの贈与の金額の合計額が410万円を超える場合に「特例税率」が適用されるということです。
それでは例を挙げて確認していきましょう
(例)
「一般贈与財産」(父母又は祖父母以外からの贈与)500万円の贈与を受けた場合
(贈与財産) (基礎控除)
500万円-110万円=390万円
(基礎控除後の価格) (税率) (控除額)(贈与税額)
390万円 × 20% -25万円 =53万円
となります。
「特例贈与財産」(父母又は祖父母からの贈与)500万円の贈与を受けた場合
(贈与財産) (基礎控除)
500万円-110万円=390万円
(基礎控除後の価格) (特例税率)(控除額)(贈与税額)
390万円 × 15% -10万円=48.5万円
となります。
53万円-48.5万円=4.5万円の差があります。
同じ価格の贈与を受けたとしてもこれだけの差がつきます。
手続きはすごく簡単で、贈与税の申告書に氏名、生年月日、父母又は祖父母からの贈与であることが証明できるよう戸籍謄本を添付するだけです。
最後に
みなさん贈与税の税率が高いという認識は持っています。
ですが自分にもしもの時があった場合の相続税の税率と比較してどれだけ高いかを理解している人はごく少数です。
中には最低税率が相続税の税率の方が高いということを知らない方もたくさんいらっしゃいます。
300万円の財産で考えてみると
(相続税の場合)
最低税率10%が適用された場合30万円の相続税が発生します。
(贈与税の場合)
基礎控除110万円を控除した後に税率10%が適用されますので19万円の贈与税が発生します。(実質税率6.3%)
30万円の相続税を納める場合と、19万円の贈与税を納める場合ではどちらがお得かというお話でした。
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