家族名義預金の名義変更について
コラム
2024年12月20日 金曜日
【家族名義預金の現状】
当事務所が相談を受ける中で特に多い相談が家族名義預金についてです。
この場合の名義預金とは、被相続人名義の預金を家族の名義に変更している場合です。
作成の理由としては、将来の相続対策のためと思い作成される場合や、相続対策とは関係なく自分の中での整理として作成される場合など様々です。
家族名義預金は相続対策には一切ならず、また、残された相続人に対して「この預貯金は相続財産に計上すべきなのかどうか」などの混乱を生みます。
そして申告しなかった場合は税務調査により申告から故意に除外したとみなされ、重加算税を賦課されるケースがたくさんあります。
名義人本人の預金なのか、名義は家族のものになっているが実際は被相続人の預金なのかは、税務署の職員が確認すれば簡単に判断できます。
また、家族名義預金を作成する場合に、贈与税の基礎控除である年間110万円以内の金額でよく作成されています。
そうすると、本来相続対策で必要とする時間が無駄に奪われるということになります。
【当事務所の方針】
当事務所に相談人来られる方のほとんどが「家族名義預金の取り扱いをどうしていいか分からない」ということです。
《相続開始後前に家族名義預金の存在を把握した場合》
相続開始前に家族名義預金の存在を把握した場合については、当事務所では本来の権利者の名義に戻すことをお勧めしています。
その際の注意点としては、家族名義になっている真の権利者が、戻した名義の権利者本人のものであるかということです。
本人の預金を本人名義に戻しただけなので贈与税の対象にもなりません。
ただ第三者から見れば贈与と疑われる可能性もあるので、可能であれば贈与前の預金通帳など戻した名義が真の権利者であるという証拠を残しておくことが大事です。
《相続開始後後に家族名義預金の存在を把握した場合》
この場合残念ですが全額相続財産として計上するとともに、遺産分割の対象にもなります。
相続対策として費やす時間も無駄になったということです。
《結論》
相続対策のキモは現状を把握することです。
現状を把握し、親族の協力があって初めて相続対策は成功します。
相続対策としては以下のようないろいろな方法があります。
・生命保険の非課税枠を使う
・相続税と贈与税の税率の差を利用する
・財産の評価を下げる
・次の世代に早めに資産を移転させ、財産を増加させる
などなど。
限られた時間を有効に使うことが相続税の節税対策には絶対条件です。
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