相続税の申告準備はお早めに!

コラム

2022年10月20日 木曜日

相続税の申告書の作成には意外と時間がかかります。

 

最近私の事務所にも申告期限のギリギリになっての依頼が増えてきています。

 

ITの発達によりいろいろな情報が入手しやすくなり、申告書の作成が自身で簡単にできると思われているのかもしれません。

 

「相続財産の総額が不動産と預貯金合計で○○万円だ」

「相続人が○人だから基礎控除が○○円になるので相続税額は○○万円でしょう」

「相続税の申告書の提出期限は相続発生から10ケ月だ。」

 

そのとおり。正解です。

 

ですが、実際申告書を作成するとなると何から手を付けていけばいいのかが分からないのが現状ではありませんか?

 

申告書を準備し、添付書類を準備したとしてもなかなか申告書の作成にはいたりません。

 

ちなみに当事務所で最初に面談を行い準備していただく資料の一部は下記のとおりです。

 

【必要書類一覧】

・亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本一式

・相続人の戸籍謄本

(法務局が発行した法定相続情報でも可)

・相続人のマイナンバーを確認できる書類

・不動産の名寄帳

・金融機関の残高証明書

・使用済みの金融機関の通帳

・生命保険の支払通知書

・退職金の支払通知書

・葬式費用の領収証

・借入金や債務が証明できるもの

・亡くなった方の収入が証明できるもの(源泉徴収票など)

・相続人の印鑑証明書

などなどです。

これら書類を集めるだけでも数週間はかかると思います。

 

また、申告書を作成する場合は上記残高証明書などを確認するだけでなく、「生前に贈与がなかったか」「誰かにお金を貸したりしていないか」「現金の保管はなかったか(亡くなる直前に出金した)」「最近購入したものはないか(動産として申告)」などの確認を行い、申告書を作成していきます。

 

特に注意が必要な(時間がかかる)場合は下記のような場合です。

 

・相続人に未成年者がいる場合

未成年者は遺産分割に参加することができません。

家庭裁判所で特別代理人を選任してもらう必要があります。

その際相続人同士が代理人になることはできません。利益相反に当たるからです。

例えばお父さんが亡くなり、相続人が母と未成年の子の場合母は子の代理人になることはできないということです。

この特別代理人の選任の期間だけで1ケ月以上はかかると思います。

 

 

・相続人に意思能力がない場合

相続人が痴ほう症や障害者などで意思能力がない場合も遺産分割に参加することができません。

後見人を立てる必要があるため時間がかかってしまいます。

 

 

・相続財産の中に市街地農地がある場合

財産評価の中で特に時間がかかるのが市街地農地です。

市街地農地とは、現況は田や畑などの農地として利用しているが、評価する場合は宅地並みの評価を必要とするものです。

現地確認を行い、宅地並みに評価した金額から造成費の金額を算出し控除する必要があるため時間がかかります。

 

このように相続税の申告書の作成にはより専門的な知識が必要となるため、税理士が作成する割合は高くなっています。

《税理士関与割合》

所得税・・・21.1%

相続税・・・86.1%

法人税・・・89.4%

(令和2事務年度 国税庁実績評価の概要)より抜粋

 

申告書を自分で作成するデメリット

少しでも税理士費用を抑えるために自身で申告書を作成しようというお気持ちは理解できますがデメリットも多いです。

 

・誤りが多い

やはり専門知識がない方が作った申告書には誤りが多く税務調査の対象になることもあります。

 

・税務調査で反論できない

仮に税務調査が行われても専門知識がないため反論できないのが現実ではないでしょうか。

 

 

・結局費用がかさむ

税務調査に入られ、加算税・延滞税など余計な税金を払ってしまう。

 

自身で申告書が作成できると思い始めたものの、結局は仕上げることができず最終的には税理士に依頼する場合もよくあります。

税理士事務所にもよりますが、申告期限が迫っている申告書の作成料は通常期に比べて高くなることが一般的です。

 

 

相続税申告の準備は早めに行い、専門知識のある税理士に依頼するようにしましょう。

また、生前の相続対策を行えば余計な支払いをする必要も少なくなると思います。

 

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