相続税の障害者控除について
コラム
2022年6月21日 火曜日
【障害者控除とは】
相続税の障害者控除とは相続税における税額控除の一つです。
相続や遺贈により財産を取得した方が障害者である場合、一般的にそうでない方に比べて多くの生活費を必要とすることから、その方の相続税額から一定額を控除する制度です。
【適用要件】
・相続又は遺贈により財産を取得していること
・居住無制限納税義務者であること ※1
・亡くなった方の法定相続人であること
・85歳未満の者であり、障害者にがいとうすること
※1 簡単に言うと相続発生時にその方の住所が日本にあるということです。
【控除金額】
(85歳-相続開始時の年齢)×10万円=一般障害者の控除額
(85歳-相続開始時の年齢)×20万円=特別障害者の控除額
【一般障害者・特別障害者】
《一般障害者》主なもの
・身体障害者手帳3級~6級
・精神障害者福祉手帳2級又は3級
《特別障害者》主なもの
・身体障害者手帳1級又は2級
・精神障害者福祉手帳1級
・成年被後見人
★注目ポイント
相続人が成年被後見人の場合の取り扱いについてですが、国税庁ホームページにおいて文書回答事例として公開されています。
障害者控除の対象者については所得税・相続税ともに同じということになります。
【扶養義務者の相続税額からの控除】
障害者控除額が障害者の相続税額を超える場合には、その超える部分の金額つまり控除不足額は、その方の扶養義務者で同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した方の相続税額から控除することができます。
扶養義務者が複数人いる場合の控除額の取り扱いについては次のとおりです。
・扶養義務者の全員が協議により各人ごとの控除額を決める
・上記以外の場合、相続税額の比率により案文計算した金額を控除額とする
★注目ポイント
ここでいう扶養義務者とは配偶者と民法877条で定める扶養義務者となっています。
民法877条では直系血族・兄弟姉妹及び家庭裁判所の判断により扶養義務を負うこととなった三親等内の親族となっています。
なお相続税法上では実際に生活費の援助があったかどうかは問われていません。
【注意点】
過去に障害者控除を受けていた場合には、2回目以降の相続の場合の控除額は、前の相続による控除不足額を限度として今回の相続における控除額を計算することとされています。
また、障害者本人が相続又は遺贈により財産を取得していない場合は扶養義務者から控除ができません。
障害者控除は財産の取得の仕方により税額に大きな影響がありますので、相続税額と今後の財産管理両方の検討が必要になります。
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