相続税・贈与税の税制改正について(令和4年)

コラム

2022年3月29日 火曜日

前回のコラムでもお伝えしましたが、令和4年の税制改正では相続税・贈与税の一体化は見送りとなりました。

 

ただし令和4年の税制改正大綱においても

「・・・一方で、相当に高額な相続財産を有する層にとっては、財産の分割贈与を通じて相続税の累進負担を回避しながら多額の財産を移転することが可能となっている。」

 

「今後、諸外国の制度を参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えた課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。」と記されています。

 

要約すると、日本の税制では相続税と贈与税は別々に機能しており、贈与税の制度を利用して将来の高額な相続税を回避することにより貧富の格差が固定されたままになっている。諸外国の税制を参考に格差の固定化を見直していくということです。

 

 

ここで今一度相続税と贈与税の関係を整理してみましょう

 

(贈与税)

大きく分けて以下の2つの制度があります。

 

【暦年課税制度】

誰から誰に贈与が行われても贈与税の基礎控除額が110万円ある。

 

【相続時精算課税制度】

60歳以上の父母や祖父母から二十歳以上の子や孫などの推定相続人に対して贈与を行った場合は、その贈与者に限って特別控除として2,500万円ある。

一度この制度を選択すると、その贈与者からの贈与については暦年課税には戻れない。

 

(相続税との関係)

【暦年課税制度】

相続又は遺贈により財産を取得した者で、その相続開始3年以内に被相続人から贈与により取得した財産がある場合は、贈与時の価格で相続財産に持ち戻し(相続税の対象になる)される。

※注意点

・相続又は遺贈により財産を取得しない場合は法定相続人が3年以内に贈与により財産を取得していた場合でも相続財産に持ち戻しする必要はない

・3年以内の贈与が110円を超えるかどうか(贈与税がかかっているかどうか)は関係ない

・遺言により財産を取得した者は持ち戻しの対象になる

・生命保険の受取人になった場合も持ち戻しの対象になる

・代襲相続や養子になった場合にも持ち戻しの対象になる

 

《持ち戻し対象外の贈与》

・贈与税の配偶者控除を適用した額

・住宅取得資金の非課税を適用した額

・教育資金の一括贈与を適用した額(管理残額がある場合は持ち戻し対象)

・結婚子育て資金の一括贈与を適用した額(管理残額がある場合は持ち戻し対象)

 

【相続時精算課税制度】

原則全額が相続税の課税対象になる。(住宅取得資金の非課税の特例と併用した場合は、非課税部分は持ち戻しの対象とならない)

 

以上、簡単に整理してみましたが、基本的に【相続時精算課税】を適用した場合は相続税対策にはなりにくく(将来的に価値が上昇することが確実な場合を除く)、一般的には【暦年課税】の制度を適用して相続税の節税を行っています。

 

今年の税制改正について

 

今年の税制改正では以下の「住宅取得資金の非課税の特例」について改正が行われましたがそれ以外大幅な改正はありませんでした。

 

しかし近い将来何らかの改正が行われることは間違いないとの見方が強いみたいです。

しかも納税者には不利な要素しかないようです。

 

のこり少ない生前贈与を利用した相続税の節税対策は大変重要であると考えます。

 

《住宅取得資金の非課税の特例の改正内容》

・令和5年12月31日の贈与まで期限が2年間延長された

・非課税限度額の縮小

耐震・省エネ・バリアフリー住宅 1,000万円

その他の住宅            500万円

・中古住宅の築年数の要件を廃止

・受贈者の年齢引き下げ

令和4年4月1日以降の贈与については、成人年齢の引き下げにより受贈者の年齢が18歳以上で適用可能となった

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