生前贈与はお早めに!

コラム

2022年1月23日 日曜日

2021年相続税・贈与税の一体化としての税制改正が大きな話題となりました。

 

【令和3年の税制改正大綱】

ことの発端は令和3年の税制改正大綱において「相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度の在り方を見直す」という一文が記載されていたことです。

 

改正の方向性としては、諸外国の税制を参考に、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築というものです。

 

現在の日本の税制はどうかというと、暦年課税の贈与については、「贈与税は贈与税で課税し相続開始の3年以前の贈与については相続財産に持ち戻す」という制度になっており、贈与税と相続税は別々の制度となっています。

 

「富裕層はこの制度を利用し、早くから計画的に生前贈与を繰り返し相続税の負担の軽減を図っている。このままでは富裕層だけが得をする制度だ。」というのが国の言い分です。

 

【令和4年の税制改正大綱】

結果、令和4年の税制大綱ではどうなったかというと、今年の改正では見送りとなりました。

ただ引き続き前年同様に文言は残っていました。

 

・高齢化に伴い高齢者に資産が偏って存在している

・より早いタイミングで若年世代に資産が移転すれば経済が活性化される

・現在の税制では資産の格差が固定されたままだ

・今後諸外国の税制を参考にして相続税・贈与税の一体化にシフトしていく

 

というのが税制改正大綱の概要です。

 

【今後の税制改正の予想】

各種の報道記事などでは今後の税制改正についていろいろな予想が挙げられています。

 

・暦年課税が廃止になり、相続時精算課税1本に統一される

・相続開始前の贈与の持ち戻し期間が3年から10~15年に変更となる

・暦年課税の基礎控除が110万円から減額される

などです。

※相続時精算課税制度とは、暦年課税の基礎控除110万円に代えて特別控除として2,500万円ある制度ですが、この制度を適用して行った贈与については期間の制限はなく全ての期間の贈与について贈与時の価格で相続時に持ち戻しされる制度です。

 

【今後について】

諸外国の税制を参考にとありますが、諸外国とは課税財産や基礎控除などそもそもの制度が全然違います。

なので、どのように改正になるかは相変わらず不明というのが現状です。

ただ現状より贈与税を利用した相続税の節税対策がしにくくなることは間違いないと予想されます。

 

今後残された少ない機会に本気で節税にチャレンジすることは、将来の相続税に対して大変重要であることは間違いありません。

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