相続税における相次相続控除
コラム
2020年11月6日 金曜日
相続税の相次相続控除とは、今回の相続開始前10年以内に、今回の被相続人が相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得し相続税が課されていた場合に、今回の相続税の税額から一定の金額を控除できる制度です。
つまり祖父が亡くなった後に父親が相次いで亡くなった場合など、短期間で相続税が課税になった場合は税負担が大きいため、一定の条件をクリアすれば相続税が減額できるというものです。
【相次相続とは】
短い期間の間に身内が相次いで亡くなることです。相次相続控除の対象となるには最初の相続から2回目の相続までの期間が10年以内であることが必要です。
【相次相続控除が受けられる人】
次の全てに当てはまる人です。
1 二次相続において、二次相続の被相続人の相続人であること
この制度の適用対象者は、相続人に限定されていますので、相続を放棄した人、相続権を失った人が遺言により財産を取得したとしても、この制度は摘要されません。
2 二次相続の開始10年以内に、二次相続における被相続人が一次相続により財産を取得していること。
3 二次相続の被相続人が、一次相続により財産を取得した時に相続税が課税されていること。
※1回目の相続を一次相続、今回の相続を二次相続という。
【相次相続控除の控除額】
相次相続控除は、一次相続において課税された相続税額の内、1年につき10%の割合で逓減した後の金額を、二次相続に係る相続税額から控除するというものです。
(計算式)
A×C÷(B-A){100/100を超えるときは100/100とする} ×
D÷C×(10-E)÷10=各相続人の相次相続控除額
A:二次相続の被相続人が一次相続の際に納めた相続税額
B:二次相続の被相続人が一次相続の際に取得した純資産価額(取得財産の価額+相続時精算課税適用財産の価額-債務及び葬式費用の金額)
C:二次相続によって財産を取得した全ての人の純資産価額の合計額
D:二次相続の各相続人の純資産価額
E:一次相続から二次相続までの期間(1年未満の期間は切り捨てます)
【計算例】
祖父が死亡し父が相続した後の父が死亡した場合。
・祖父が死亡し父が死亡するまでの期間は4年6か月
・父が祖父から相続した純資産価額は1億5,000万円(父の納付税額1,000万円)
・父の全体の相続税の純資産価額は1億8,000万円
・父から相続する純資産価額は9,000万円(納付税額950万円)
1,000万円×(1億8,000万円÷(1億5,000万円-1,000万円)※1
×9,000万円÷1億8,000万円×(10年-4年)※2÷10年=300万円
※1 カッコ内の計算が100/100を超えるためこの場合は100/100で計算します。
※2 経過年数は4年6か月ですが、この場合は1年未満を切り捨て4年で計算します。
結果として、父が納付した相続税1,000万円を40%逓減させた600万円を基に、今回の父からの相続財産の取得割合(9,000万円÷1億8,000万円=1/2)を掛けた金額300万円が控除額ということになります。
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