住宅取得資金の非課税の特例

コラム

2020年10月26日 月曜日

住宅取得資金の非課税の特例について説明します。

 

住宅取得資金の非課税の特例とは

平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、自身の父母や祖父母からの贈与により、自身の住宅用家屋の新築もしくは取得をした場合一定の金額までは贈与税が非課税となる制度です。

 

使い方によっては大きなメリットのある制度なので順をおって説明していきます。

 

《適用要件》

【受贈者(もらう側)の要件】

・贈与者の直系卑属(子や孫)であること。養子縁組をしている場合でも認められます。

・贈与を受けた都市の1月1日において20歳以上であること。

・贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。

・取得する物件が、配偶者や親族など特別の関係のある人からの取得でないこと。

・贈与を受けたときに、日本国内に住所を有し、日本国籍を有していること。

・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築もしくは取得をすること。

 

【住宅用家屋の要件】

家屋の登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下であり、家屋の床面積の2分の1以上が受贈者の居住用に使われるもの。

・建築後使用されたことのない住宅用の家屋

・建築後使用されたことのある家屋で、取得の日20年以内に建築されたものであること。(耐火建築物の場合は25年以内)

・建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることにつき、次のいずれかの書類により証明されたもの。

a 耐震基準適合証明書

b 建設住宅性能評価書の写し

c 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類

 

※このほか、建築後使用されたことのある家屋については適合基準が複雑であるため注意が必要です。詳しくは国税庁ホームページ等で確認してください。

 

【非課税の限度額について】

家屋の新築等に係る契約日が令和2年3月31日までの契約の場合

省エネ住宅・・・3,000万円

一般住宅・・・・2,500万円

 

家屋の新築等に係る契約日が令和2年4月1日から令和3年3月31日までの場合

省エネ住宅・・・1,500万円

一般住宅・・・・1,000万円

※省エネ住宅とは①断熱等性能等級4もしくは一次エネルギー消費量等級4以上、②耐震等級2以上、③高齢者等配慮対策等級3以上などを証明書などで証明がされたものをいいます。

 

特例適用における注意点

この住宅取得資金の非課税の特例は贈与税の非課税枠も大きく、非課税部分の金額は相続税に加算する必要のないいわゆる「3年以内贈与」の対象にもならないことから非常に有効な節税にもなりますが、使い方を誤れば大きな税負担を負うことになるので注意が必要です。

 

1 申告要件であること

税金がかからないからといって申告しなくていいわけではありません。特例になるので必ず申告期限内の申告が必要です。申告期限を1日でも過ぎてしまうと一切特例が使えないため多額の税負担を負うことになります。申告期限は贈与が行われた年の翌年2月1日から3月15日です。受贈者の住所地を管轄する税務署に申告が必要となります。また、申告に際して戸籍謄本等の添付書類も多いことから早めの準備が必要となります。

 

2 家屋等の取得要件について

この特例は原則として贈与の年の翌年3月15日までに建物を取得して居住を開始する必要があります。居住開始などは申し出により延長される場合もありますが、請負契約により建物を建築中の場合は、3月15日現在において屋根を有している状態まで建築が進んでいないと特例は使えません。なので年末の贈与の場合は特に建築機関の関係に特に注意が必要です。なお、建売住宅やマンションの場合は3月15日までに必ず引き渡しを受けておく必要があります。

 

3 新築とともに取得する敷地について

この特例は住宅用家屋の新築とともの取得する敷地の取得のための贈与も認められていますが。「新築とともに取得する」必要があるため必ず土地の取得者は家屋の所有権も持っていなければならないということです。例えば夫が実の父親から家屋の取得のために資金を贈与してもらい、妻が実の母親からその敷地を取得するための資金を贈与してもらった場合は妻については特例は使えないということです。こういった場合は妻にも建物の所有権を少しでも持たせる必要があります。

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