相続税における遺言について
コラム
2020年10月9日 金曜日
遺言とは、自分の財産をどのように相続させたいのか最終的な意思を伝える手段です。
最近では財産の多寡にかかわらず、遺産相続の分割をめぐるトラブルが増えています。
遺言がなくても、相続人同士の話し合いが円滑に進み、問題なく遺産分割協議が終了することもありますが、相続人同士が争い、人間関係を壊してしまうことも多々あります。
遺産相続では「法定相続よりも遺言による相続が優先される」という大原則があります。
遺言によって被相続人の意思が明確にされていれば相続争いを防ぐことも、相続そのものをスムーズに進めることもできます。
また、遺言によって相続権のない人に財産を譲ることもできます。
遺言は自分の財産の今後の方向性を示す意思表示として非常に重要な役割を占めます。
・遺言は誰でも作成できるのか
満15歳に達した者は、遺言を作成することができます。
・遺言の方式は決まっているのか
遺言の方式は決まっています。
死亡者の意思の真否を本に確かめることができないため、一定の手続きに従った方式が決められています。
・遺言の方式と種類について
「普通様式の遺言」と「特別方式の遺言」があります。
・「普通様式の遺言」とは
1 自筆証書遺言
自筆で書く遺言。ただし、財産目録についてはパソコン作成等でもよくなった。
2 公正証書遺言
公証役場で証人二人以上の立ち合いのもと、遺言者が遺言内容を口述して作成するもの。
原本、原本の写しである正本、謄本が作成され、正本、謄本は遺言者が持ち帰り、原本は公証役場で保管される。
3 秘密証書遺言
遺言内容の秘密を守りながら、遺言書の存在を明確にできる方式。
作成した遺言書を公証役場で証人二人以上の立ち合いのもと公証人に提出し、公証人の署名を受けたのちに遺言書は本人が持ち帰り、公証役場に遺言作成の記録だけが残る。
以上の3種類です。
・「特別方式の遺言」とは
1 危急時遺言
事故や病気で死期が迫った状態でも、意識がはっきりしているうちに遺言しておこうとする人が利用する方式です。
2 隔絶地遺言
以上の2種類です。
特別方式の遺言は病気や事故などで死が間近に迫っているような場合や、感染症病棟内や航海中の船舶内などの隔絶されたところにいる場合など、特別な事情に置かれた際に行われる方式です。
・遺言の撤回・変更
遺言は死亡により効力が発生しますので、死亡前において遺言者の意思であればいつでも撤回・変更をすることができます。
・遺言には必ず従わなければいけないのか
被相続人が法的に効力のある遺言書を残していた場合は、原則として遺言書の内容に従って相続が行われますが、相続人全員の同意があれば遺言に従わなくてもかまいません。
・遺留分
「遺留分」とは、法で保障された遺族が受け取れる最低限度の相続分です。
「遺留分」が認められているのは、被相続人の配偶者、直系卑属(子、孫など)、直系尊属(父母、祖父母など)であり兄弟姉妹には認められていません。
・相続税の申告
原則は遺言通りに相続分を申告します。
なお、遺言による相続人が法定相続人以外の場合は負担する相続税の金額が2割増しとなります。
また、相続人全員の同意を得て遺言には従わず、改めて法定相続人で遺産分割協議を行い申告することも可能です。
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