相続税申告における小規模宅地の特例②
コラム
2020年5月11日 月曜日
前回説明した通り、個人が、相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等のうち一定のものがある場合には、その宅地等のうち一定の面積までの部分については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、減額できます。
この制度は大きく分けて①被相続人等の居住の用に供されていた宅地、②被相続人等の事業のように供されていた宅地があります。
今回は②被相続人等の事業の用に供されていた宅地(以下、事業用の小規模宅地という)について説明します。
事業用の小規模宅地は大きく分けて(1)貸付事業用宅地(2)特定事業用宅地に分かれます。
1 小規模宅地の限度面積及び限度割合について
小規模宅地の限度面積及び限度割合については以下のとおりとなります。
(1) 貸付事業用宅地
限度面積400㎡ 減額割合80%
又は
限度面積200㎡ 減額割合50%
(2) 特定事業用宅地
限度面積400㎡ 減額割合80%
例えば事業用宅地が面積500㎡で20,000,000円だった場合、
(1) 貸付事業用宅地の場合(限度面積200㎡ 減額割合50%)
20,000,000円/500㎡×200㎡×50%=4,000,000円(減額)
20,000,000円-4,000,000円=16,000,000円
(2) 特定事業用宅地の場合
20,000,000円/500㎡×400㎡×80%=12,800,000円(減額)
20,000,000円-12,800,000円=7,200,000円
2 特例の適用要件
適用要件については、(1)貸付事業用宅地、(2)特定事業用宅地によって違います。
(1) 貸付事業用宅地
A 一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業用の宅地
a 特定同族会社事業用宅地
b 貸付事業用宅地
B 一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用宅地
a 貸付事業用宅地
※ 一定の法人とは、相続開始の直前において被相続人及び被相続人の親族が法人の発行済み株式の総数又は出資の総額の50%超を有している法人をいう。
C 被相続人の貸付事業用宅地
a 貸付事業用宅地
(2) 貸付事業以外の事業用宅地
特定事業用宅地という。
※ 特定事業用宅地とは、相続開始の直前において被相続人の事業(不動産貸付業、駐車場業等を除く)の用に供されていた宅地等で次の区分に応じ、それぞれの要件の全てに該当する親族が相続又は遺贈に該当したもの。
A 被相続人の事業のように供されていた宅地等
a被相続人の事業を相続税の申告期限までにその事業を営むこと
bその宅地を申告期限までに保有していること
B 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業のように供されていた宅地等
a被相続人の事業を相続税の申告期限までにその事業を営むこと
bその宅地を申告期限までに保有していること
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