相続税申告における小規模宅地の特例①
コラム
2020年4月18日 土曜日
個人が、相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等のうち一定のものがある場合には、その宅地等のうち一定の面積までの部分については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、減額できる制度です。
この制度は大きく分けて①被相続人等の居住の用に供されていた宅地、②被相続人等の事業のように供されていた宅地があります。
今回は、小規模宅地のうち一番多く利用されている①被相続人等の居住の用に供されていた宅地(以下特定居住用宅地という)について説明していきます。
1 小規模宅地の限度面積及び限度割合について
特定居住用宅地に該当した場合の限度面積は330㎡、限度割合は80%とになります。
例えば自宅の敷地が面積500㎡で20,000,000円だった場合、
20,000,000円/500㎡×330㎡×80%=10,560,000円(減額)
20,000,000円-10,560,000円=9,440,000円となります。
2 特例の適用要件
適用要件については、誰が居住していた宅地なのかによって変わります。
A:被相続人が居住していた宅地
B:被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族が居住していた宅地
【Aの場合】
次に取得した人が誰かによって変わります。
a 被相続人の配偶者
b 被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族
c a、b以外の親族
《取得者ごとの要件》
・aの場合
取得者が被相続人の配偶者の場合、要件はありません。
・bの場合
取得者が相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ、その宅地を相続税の申告期限まで保有していること。
・cの場合
次の(1)から(6)の要件を全て満たすこと
(1) 日本国籍があること
(2) 被相続人に配偶者がいないこと
(3) 相続開始の直前において、被相続人の居住用家屋に被相続人の相続人が居住していないこと
(4) 相続開始3年以内に、取得者は、取得者、取得者の配偶者、取得者の3親等内の親族等が所有する家屋に居住したことがないこと
(5) 相続開始時に取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれのときにおいても所有していたことがないこと
(6) その宅地を相続開始時から相続税の申告期限まで所有していること
※cは要するに、持ち家がない相続人が、被相続人が1人で居住していた自宅の敷地を相続した場合適用があるということです。
このままだと(4)については、相続人の家の名義が被相続人だった場合も該当するため特例の適用外となりますが、平成30年4月1日から令和2年3月31日までの相続については経過措置がとられ適用できることとなっています。
【Bの場合】
取得した人が誰かによって変わります。
a 被相続人の配偶者
b 被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族
《取得者ごとの要件》
・aの場合
取得者が被相続人の配偶者の場合、要件はありません。
・bの場合
取得者が相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ、その宅地を相続税の申告期限まで保有していること。
いずれの場合においても、小規模宅地の特例を適用する場合は申告が要件となっています。
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