相続税申告における生命保険(死亡保険金)の取り扱いについて

コラム

2020年4月5日 日曜日

相続が発生した場合の死亡保険金の取り扱いについて説明します。
お亡くなりになった方が、ご家族のためにかけていた生命保険については、保険の契約内容により課税関係が変わってきます。

【ケース1】

・契約者 亡くなった方
・被保険者(保険の対象者) 亡くなった方
・保険金受取人 妻
・相続人 妻、長男、次男
・死亡保険金 3,000万円

この場合、死亡保険金3,000万円については、亡くなった方の「みなし相続財産」となり、相続税の申告の対象になります。

ただし、相続人が受け取った保険金には次の算式のとおり非課税枠が設けられています。

(500万円×法定相続人の数)×その相続人の受け取った保険金の合計額/相続人全員の受け取った保険金の合計額

つまり【ケース1】の場合
500万円×3人×3,000万円/3,000万円=1,500万円(非課税金額)
3,000万円(死亡保険金)- 1,500万円(非課税金額)=1,500万円となります。
【ケース1】の場合は妻が受取人でも、長男・次男が受取人でも、生命保険の非課税金額について変わりはありません。

 

【ケース2】
・契約者 亡くなった方
・被保険者(保険の対象者) 亡くなった方
・保険金受取人 孫
・相続人 妻、長男、次男
・死亡保険金 3,000万円

保険金の受取人が孫のケースです。
孫は、子が生存している場合通常相続人ではないため、死亡保険金に対して非課税枠がありません。
ただし、保険金を受け取っているので遺贈により相続財産を取得したことになり、相続税の課税の対象にはなります。
また、相続税がかかる場合は、発生する税額に対して2割加算が行われます。
孫が保険金を受け取った場合は、かなり注意が必要ですね。

 

【ケース3】
・契約者 亡くなった方
・被保険者 妻
・保険金受取人 亡くなった方
・相続人 妻、長男、次男
・保険事故はまだ発生していない保険

亡くなった方がかけていた生命保険で、保険事故が発生していないケースです。
この場合も相続税の課税の対象になります。
申告する金額は、相続開始時点でその保険を解約したとした場合の解約返戻金です。
死亡保険金のような「みなし相続財産」ではなく、生命保険の権利(本来の相続財産)として相続税の課税の対象となります。この場合、非課税規定はありません。

以上、説明したケースはほんの一部です。
生命保険は保険の内容により課税がかなり複雑です。
取り扱いには十分注意が必要になります。

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