相続税対策と贈与税の関係について

コラム

2020年3月28日 土曜日

相続税の節税対策の1つに生前贈与があります。
生前に贈与を行い、相続開始時点での相続財産を少しでも減らして相続税を節税しようとするものです。
ここでよく見落としがちな「相続開始前3年以内の贈与財産の加算」について説明します。

 

「相続又は遺贈により財産を取得した者が、その相続開始3年以内にその相続に係る被相続人から、贈与により財産を取得している場合には、その贈与により取得した財産の価額を、その贈与を受けた相続人又は受遺者の相続税の課税価格に加算する。」ということになっています。

 

つまり、相続税対策として生前に贈与により相続財産を減らしていたとしても、亡くなる3年以内に行われた贈与財産は相続税がかかるということです。(ただし、加算した贈与財産を申告した際に納めた贈与税は、贈与加算によって支払うこととなった相続税から控除されます。)

 

そして、ここでいう「相続又は遺贈により財産を取得した者」には法定相続人だけでなく、生命保険契約等により保険金(みなし相続財産)を受け取った孫等も含まれます。

 

またこの制度は「暦年課税(基礎控除額が110万円)制度」の贈与に対するもので、「相続時精算課税制度」を使った贈与の場合、相続開始3年以内の贈与財産ではなく、「相続時精算課税制度を使って贈与を行った全ての財産」を相続財産に加算しなければいけません。

 

贈与税の「相続時精算課税制度」では相続税の節税対策としての効果はほとんど期待できません。一般的に「相続時精算課税制度」は相続税がかからないくらいの家庭で、とにかく早めに財産を移転したいという場合に利用するべき制度です。

 

贈与の中には「相続開始前3年以内の贈与財産の加算」に含まれない贈与財産もあります。
「住宅取得資金の贈与税の非課税制度」「贈与税の配偶者控除制度」を使った贈与財産です。
ただしこれらの制度を利用した場合、「相続税の小規模宅地の特例」「二次相続」などに影響が出る可能性があるので、利用する場合は慎重に行わなければ真の相続税対策にはなりません。

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